ケニア栄養改善事業:”Win-Win”の仕組み、できないだろうか?(3)

HANDSケニア事務所の栄養改善事業について:HANDSケニア事務所が幼児の栄養改善に向けた取り組みを始めて6年。今年、2023年1月に本格的に開始したJICA草の根パートナー型事業「地域に開かれた幼稚園:ケリチョー郡の幼児の栄養改善に向けて」(期間3年半)は、引き続き幼稚園を中心に、改善メニューによる給食、幼稚園教諭による園児の身体測定、学校関係者と地域保健ボランティアによるモデル学校菜園の設立と運営、さらに就園前の2,3歳児向け親子学級を新たに加え、これら主要プログラムを強化し発展させながら地域全体で幼児の栄養をさらに改善していこうという試みです。今回は本事業の中ですすめている「幼稚園モデル学校菜園活動と小学校農業クラブの協働」について3回に分けてご紹介します。

(第1回、第2回の記事はHANDSのホームページ、フェイスブックでご覧になれます。)
第1回はこちらから→  https://www.hands.or.jp/kenya-winwin1/
第2回はこちらから→ https://www.hands.or.jp/kenya-winwin2/

幼稚園のモデル菜園を訪れたルスウェティ氏一行は、学校運営委員たちや住民に迎えられ、菜園の出来栄えを丁寧にほめてくれた(上の写真)。カボセンオ幼稚園では校庭が狭かったため、事業に参加している地域保健ボランティアの一人がモデル菜園活動に賛同し、幼稚園に土地を寄付してくれたことも告げた。運営委員長と農業科教諭の発表では、学校によりその計画の完成度に差はあるもののそれぞれの学校で独自の“Win-Win”の形を目指している。バレゲイウェット幼稚園からは、4-Kクラブメンバーがモデル菜園で活動しているときに園児を招き共に菜園で活動している、という実践の報告があり、菜園活動に園児を巻き込むことができることを教えられた(下の写真)。園児も栄養改善の直接的な介入の対象にする、という今事業の目標がこれで一つあっけなく達成されてしまった。

「4-Kクラブは過去も現在でも、学校の中だけで完結する閉鎖的な活動になってしまっている。これは残念なことで、本来クラブのメンバー一人一人は新しい農業の姿を外に向かって発信し伝える役割を果たさなければならない。全国でも初めてのここケリチョーでのこの試みは、完全にこの常識を覆すことができる。幼稚園のモデル菜園活動との協働を通し4-Kクラブの児童たちは地域と容易に繋がることができる。」ルスウェティ氏の言葉は、この試みが単なる“Win-Win”に終わらず、誰もが勝利できる仕組みになりうることを示唆してくれた。(終わり)