ケニア栄養改善事業:”Win-Win”の仕組み、できないだろうか?(1)

HANDSケニア事務所の栄養改善事業について:HANDSケニア事務所が幼児の栄養改善に向けた取り組みを始めて6年。今年、2023年1月に本格的に開始したJICA草の根パートナー型事業「地域に開かれた幼稚園:ケリチョー郡の幼児の栄養改善に向けて」(期間3年半)は、引き続き幼稚園を中心に、改善メニューによる給食、幼稚園教諭による園児の身体測定、学校関係者と地域保健ボランティアによるモデル学校菜園の設立と運営、さらに就園前の2,3歳児向け親子学級を新たに加え、これら主要プログラムを強化し発展させながら地域全体で幼児の栄養をさらに改善していこうという試みです。今回は本事業の中ですすめている「幼稚園モデル学校菜園活動と小学校農業クラブの協働」について3回に分けてご紹介します。

←(写真)多様な作物を栽培するよう8つに仕切られたモデル菜園(カプクレスA幼稚園) 

「4-Kクラブ」という全国の小学校農業クラブの長として農業省本省にオフィスを構えるチャールズ・ルスウェティ氏が、6月、HANDSの呼びかけに応え同僚のバラカ氏(本省農業栄養課)と深井氏(農業省配属jicaアドバイザー)と共にHANDSの事業地であるケリチョー郡をナイロビからはるばる訪れてくれた。HANDS の呼びかけとは、HANDSの現行事業の対象幼稚園に開設されたモデル学校菜園の維持と発展のために、その幼稚園を併設する小学校の4-Kクラブと組み、双方が得をする(“Win-Win”)協働の仕組みができないだろうか、というもの。一見関係ないように見えるこの二つの活動は、中央教育省管轄の小学校と地方分権化により郡教育局管轄となった幼稚園の垣根を超えて手をつなぐことで、地域へとさらに広がる可能性を創り出せる。つまり、誰もが勝利する仕組みも夢ではない。

JICA草の根事業「地域に開かれた幼稚園:ケリチョー郡の幼児の栄養改善に向けて」の対象幼稚園4校では、学校運営委員会と幼稚園父母会、そして地域保健ボランティアが開墾し有機栽培を学びながら運営を開始した幼稚園のモデル学校菜園で、今、伝統野菜や豆、イモ類など多様な10種類の作物が育ち始めている(写真)。幼稚園のモデル学校菜園に課された主要な役割は二つ。雑穀粥のみの幼稚園の給食(10時)に添えて栄養を補うために、サツマイモやカボチャ、果物など季節ごとの作物や、果物のない季節には、先生方に買ってもらいその収益で果物を買う人気の高い伝統野菜などを提供するというものだ。二つ目は「モデル」という名の通り父母や広く地域住民の家庭菜園の手本になるという役割がある。