「アフリカの人々の幸福」-HANDSケニア事業視察を終えて(2)

 2022年1月、1週間という束の間でしたがHANDSケニア事務所ではナイロビに交換留学中の佐々木香峯子さんをお迎えし、事業視察と事務所でのボランティアをしていただきました。「アフリカの人たちにとって幸福って何なのだろう?」という根源的で深淵な問いをまっすぐに抱いてナイロビからケリチョーに到着した佐々木さん。HANDSケニアの事業がほんの小さなお手伝いになれたのではないかと職員一同嬉しく思っています。佐々木さんが綴ってくれたその時の体験記の第二回、最終回です。
 なお第一回はHANDSのホームページhttps://www.hands.or.jp/kenya20220606/
でご覧になれます。
***********************************

ケリチョーの子どもたちの幸福のために必要なこと
インスペクションの活動の最中に、幼稚園の教員の方々とお話し、教員の方々の幸福と幼稚園の生徒たちの幸福について伺いました。教員の方は、子どもたちの幸せは『Playing』だと答えていました。私は、教員の方々のお話を伺い、当たり前で、単純なことを忘れていたことに気付かされました。ケリチョーの各幼稚園を回る中で、また、ケニアで過ごす中で、日本とは違う幼稚園の現状を受け入れてしまっており、そこに日本と同じように遊び盛りの子どもたちがいることを忘れてしまっていました。ケリチョーの幼稚園には、日本の幼稚園のような大きな砂場や遊具はありませんし、おもちゃなどもありません。しかし、まず子どもたちが健康な体を作ることのできることが、元気よく遊ぶことのできる幸せへのステップなのではないかと感じました。健康的に生活できない環境は、子どもたちの幸せを阻む大きな壁であると思いました。HANDSによるトイレやキッチンの建設支援は、子どもたちにとって、健康的で、彼らの幸福を達成するために、非常に重要であると感じました。
(写真左上:Kapwos 幼稚園の子どもたちと先生)

 私たちが日常の中で感じる幸福に対する認識の差異は大きくないと学ぶとともに、わたしたちにとって当たり前にある幸せというものを感じるには、いまだに難しい状況にあることを感じました。感じていた当たり前は当たり前ではないと気づくと共に、誰にとっても住みやすい環境形成を目指すことの重要性を感じました。そのために、当事者の意識や価値観にたち、物事をその人々の目線で観察し、課題に気づくことの難しさと共に、HANDSが技術伝達としてコミュニティにトイレやキッチン建設と維持の知識を提供し、持続性のあるシステムを作っていることに深く感銘を受けました。

終わりに
 奇遇ではありますが、ナイロビでのスラムでのインターンシップに参加する中で、子どもたちの身体測定の事業に携わらせていただく機会がありました。HANDSが行なっている成長モニタリングに関しても、ボランティア活動中に、様々お話を伺い、継続的することのできるフレームワークについて学ぶことができました。HANDSでの学びを実践したいと思い、スラム内の小学校で定期的な身体測定が行えるよう、学校の先生に、身長の計り方や、子どもたちの情報を記録できるようフォーマット・作成手順をマニュアル化し、校長先生の協力を得ながら、配布することができました。
 このように、HANDSでの学びや経験は、私自身の行動力や、課題に対しての視点を成長させながらも、国際協力における支援のあり方を考えさせていただける原体験となりました。今後も、HANDSでの学びを、自身のアフリカの社会的な課題解決という夢につなげることができるよう、努めていきたいと思います。
(終わり)