ケニア事業:実施マニュアルでの幼児の栄養改善プログラム普及活動-幼稚園での給食(2)


この実施マニュアルは、今年3月にプロジェクトが終了した後でも700校以上のケリチョー郡の公立幼稚園が、プロジェクトで実施した給食とモデル学校菜園、成長モニタリング等の栄養改善プログラムを独自に郡政府と協力しながら実施できることを目指して執筆・出版したガイドブックです。プロジェクトに参加した幼稚園のユニークな成功例、そして郡及び準郡政府関係者の生の声と共に写真や図解を使って分かりやすく解説しています。

今回はHANDSが普及している給食活動の内容についてご紹介します。
●HANDSは、各幼稚園が給食を少しでも開始しやすく、さらに無理なく継続できるよう、給食費を圧迫する砂糖の消費を減らすため自然な甘みを引き出す発酵雑穀粥を献立に取り入れました。ところが地域によっては、発酵粥の酸味は幼児のお腹にはよくない、と言う保護者の多い所や、砂糖の甘みのない粥なんて子供たちは食べないだろう、と懸念する保護者のいる中、校長先生自ら園児たちと一緒にシュガーレス発酵粥を食べたり、発酵の度合いを調節しながら砂糖の量を徐々に減らす工夫で成功した調理師さんもいます。

●幼稚園の運営に当たる運営委員会と保護者、地域保健ボランティアたちが中心となって幼稚園の敷地にモデル菜園(20mx25m)を作ることで、育てたソルガムやミレットは雑穀粥の材料の足しにし、採れたサツマイモやカボチャなどは粥と一緒に供し栄養改善に役立て、さらに病気や天敵に強い人気の伝統野菜を始めとする野菜を栽培し売却したお金で果物を購入するなどといった工夫も、実施マニュアルの中で図や写真を使って丁寧に紹介しています。そして最も重要なのは、これらを実践するにあたり必要な知識とスキルを学校関係者に習得してもらうことです。そのために、これまではHANDSが農業局や保健局と協力して提供していた栄養や衛生、作物の有機栽培、さらにモデル菜園の維持管理の方法などを、今度は農業局や保健局が彼らだけで幼稚園の求めに応じ研修を通し提供していくことです。実施マニュアルにはHANDSが使用してきたこれらの研修プログラムも参考として掲載しています。(続く)

菜園の図解:8つに区分し多種の作物を育てる