ケニア事務所の取り組み:ケニアの子どもたちと守る生物多様性プロジェクト (地球環境基金助成金)のご紹介

・ケニアの子どもたちと守る生物多様性(地球環境基金助成金)プロジェクトとは?

ケニア事務所にて長期インターンシップをしております、長崎大学大学院熱帯医学・グローバルヘルス研究科の原田梨央です。今回は、インターン業務として関わっているケニアの子どもたちと守る生物多様性プロジェクトについてご紹介いたします。
ケニアの子どもたちと守る生物多様性プロジェクトでは、ナイロビ国立博物館のパトリック氏の指導を受けて、子どもたちが情報収集者となり、両親や祖父母、地域内の年長者から、食に関する伝統知(栽培・採集・貯蔵・調理・消費など)を聞き取り・記録する活動を行っています。背景には、栄養不良や食生活の変化による生活習慣病の増加、環境破壊や気候変動などの多様な課題があります。一方で、ケニアには850種類の自生の食用植物(400種類の果物と210種類の葉物野菜)があり、これらは栄養価も高く、干ばつや害虫にも強いもので、90%以上が野生か野生地域で育っていると考えられています。食に関する伝統知を残すことは、地域で採れる食材を利用した栄養問題の改善や環境保全、文化的価値の保存など多くの側面を持っています。
インターン業務として、プロジェクト対象地の小学校を訪問し、実際に子どもたちが食に関する伝統知を記録したノートの確認などを行いました。この活動は、学校の取り組みとして、先生と地域から選ばれたコーディネーター、HANDSとの連携で行っており、地域と学校の架け橋にもなると感じました。また、他のプロジェクト対象地域でも課題として挙げられていた「伝統知を若い世代に伝える機会の減少」という点についても、子どもたちは聞き取りを通して伝統知を学ぶことができます。さらに、「伝統野菜は貧しい人の食べ物」といった偏見をなくし、地域で採れる食材の利用を促すことは、子どもたちの栄養問題の根本的な解決に繋がると感じました。この活動は、ケニアの5つの県で展開されています。
私は大学院で公衆衛生を学んでおり、人の健康に関心を寄せてきました。しかし、ケニアの子どもたちと守る生物多様性プロジェクトに関わる中で、人の健康と生態系の健康は密接に繋がっていることに気付きました。また、地域全体を巻き込んだアプローチを学ぶこともできました。来年以降もこのプロジェクトを通じて、新しい視点をどんどん獲得していきたいと思います。

(左)自生果樹を見つけた少年(ヴィヒガ県)  
(右)伝統野菜の苗木を持つ少年たち(ヴィヒガ県)

・パトリック氏の講演会が長崎大学で開催されます!
ケニアの子どもたちと守る生物多様性の研修講師であるナイロビ国立博物館のパトリック氏が、長崎大学で講演会を実施することになりました。長崎大学では、新型コロナウイルス感染症のパンデミックが起こった2020年から、「Planetary Health(地球の健康)に貢献する大学」を目指すことを掲げ、様々な取り組みを始めています。HANDSケニア事務所は、ケニアの子どもたちと守る生物多様性プロジェクト以外にも、アグロフォレストリー事業などの地球の健康に取り組むプロジェクトを展開してきました。そして今回、コラボレーションが決定致しました。ケニアでの栄養改善や生活向上への取り組みを学び、開発途上国における郷土食の利用機会を一緒に考えてみませんか。

[イベント情報]
日時:2022年12月16日(金) 16:30-18:30
開催場所:長崎大学 文教キャンパス総合教育研究棟3階
タイトル:栄養改善と生活向上に資するローカル・ランドスケープ由来の食利用を促進するための科学と伝統知の適用 ※全て英語で実施いたします
お申込み方法:事前申し込みは不要です
イベントサイト:http://www.hss.nagasaki-u.ac.jp/archives/news/19863
パトリック氏の活動に関しては、こちらの動画をご覧ください:
https://www.youtube.com/watch?v=1kz7v4f97ho
Dr. Patrick Maundu, Ethnobotanist National Museums of Kenya – YouTube