JICAインドネシアカウンターパート研修−母子健康手帳の活用〜地域における活用−

2008年11月(JICA)
背景

 国際協力機構(以下、JICA)は、1998年から2003年に実施された「母子健康手帳プロジェクト」の第2フェーズという位置付けのもと、2006年10月より「母子手帳による母子保健サービス向上プロジェクト」を開始した。本プロジェクトは、これまでに、ある程度インドネシア国で普及されてきた母子健康手帳が、“多様な母子保健サービスを統合するツールとして、保健サービス制度の中に確実に位置づけられ、継続性を確保すること”を目的としている。つまり、更なる活用の質向上と、継続性に焦点を当てたプロジェクトである。

 日本の母子健康手帳は、法制度や多岐にわたる保健行政制度に支持されてきた。また、日本の母子健康手帳は、母子保健に関わるすべての職種の関係者からの関与を受け、母子の生活の中で当然の存在としてしっかりと根付いており、継続性が危ぶまれるようなことは全くない。本研修を通じて、インドネシア側のプロジェクト関係者が、このような日本の母子健康手帳を取り巻く制度的環境に学ぶことは、まさにプロジェクト目的と合致している。

 更に、本研修実施中には、第6回母子手帳国際会議がUNFPA, UNICEF, JICA、厚生労働省、外務省、NGOの協賛で東京において開催され、16ヵ国からの各国代表や研究者たちが出席。研修参加者たちも同席し、母子手帳活動についての経験を分かち合い、母と子の生活の質を保証するための更なる跳躍について討議に加わった。インドネシアで意志決定権を持つ参加者が、このような母子手帳国際会議に出席することの意義は大きく、帰国後にはインドネシアでの母子手帳継続性のために更なる貢献をすることが期待される。

本研修の特徴

 研修初日に、厚生労働省国際課およびJICA本部人間開発部を表敬した。

 厚生労働省では訪問した国際課にて、インドネシアにおける母子手帳事業展開の功績が称えられるともに、今後の第3国への技術協力の期待が研修員に寄せられた。また、JICA本部では、インドネシアやパレスチナにおいて母子手帳関連のプロジェクトに関わってきた人間開発部関係者やプロジェクトリーダーが集まって、これまで約10年におけるインドネシアの母子手帳普及の経緯を共有した。

 母子手帳国際会議1日目は、国連大学ウ・タント国際会議場にて開催された。研修員は、秋篠宮妃殿下、福田(前首相)喜代子夫人、南野参議院議員等の来賓、国際際ゲスト、一般参加者を含む総勢320名の参加者とともに、母子手帳を通じた母と子の健康の向上と健やかな成長について活発に議論がくり広げられた。

 母子手帳国際会議2日目は、国際協力機構 東京国際センターにて開催された。9ヵ国(モンゴル、マダガスカル、ラオス、フィリピン、カンボジア、ドミニカ共和国、パレスチナ、アメリカユタ州、日本)からの母子手帳の効果的な普及への取り組みへの実践的報告がされ、活発なる意見交換や討論が行われた。

 母子手帳国際会議3日目は、2つの視察を行った。常陸大宮済生会病院では、地域の基幹病院としての役割と保健センターとの連携や小児疾患の早期発見や虐待予防の観点から病院における母子手帳を活用の示唆を得ることができた。また、常陸大宮市総合保健福祉センター「かがやき」では、20歳になるまで利用可能な『親子健康手帳』の開発や導入の経験、8ヶ月乳児相談の参観や親子健康手帳を利用する保護者達との懇談を通じて、日本の母子保健活動における母子健康手帳の取り組みと活用について認識を深めた。

  研修の成果

 本研修の到達目標は、下記のとおりである。

-到達目標1:「日本の母子保健活動における母子健康手帳の役割を理解する」(講義、視察)
-到達目標2:「ミレニウム開発目標達成のための母子健康手帳の役割を理解する」(発表・討議)
-到達目標3:「世界各国の母子健康手帳利用に関する実践的発表及び討議を通じて、母子健康手帳の配布、普及に関する戦略を理解する」(発表・討議)

 研修員評価表(アンケート結果)からも、母子手帳国際会議における参加を通じてそれらの目標を十分達成できたことと思われる。


<研修の様子>
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