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活動ニュースケニア

国際保健医療学会2015 報告(1) ケニアUHCシンポジウム

今年の日本国際保健医療学会は金沢大学で開催されました。
HANDSは国際保健に関連する本学会で毎回のように調査や活動について発表しています。

そして今回はシンポジウム「ケニアUHCに向けた道のりと日本の協力」でも、発表させて頂きました。

ケニアは現在、すべての人が基礎的保健医療サービスを支払可能な費用で受けられるという、「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)」の達成をめざしており、日本の支援重点国にもなっています。
このシンポジウムは、日本の「UHC」に向けた協力の事例を挙げ、ケニア政府の現状と課題を考察しつつ、日本の支援方向性を確認することを目的に開催されました。
当日は多くの国際保健関係者の参加があり、活発なディスカッションもなされました。

IMG_5525_sm.jpgケニア事業について発表する、国内担当の平野志穂

<ケニア保健セクター概況>
シンポジウムではまず、JICA人間開発部の小澤氏よりケニア保健セクター概況の説明がありました。

◆ミレニアム開発目標(MDGs)達成のためのさまざまな働きかけにより、保健指標が改善してきたものの、地域間の格差が大きいこと。

◆2013年を境としたケニア国内の大きな変換点として、以下の点が挙げられること。

  • 地方分権化が採用され、保健サービス提供は47つのカウンティ(行政区)の責務となった
  • 保健省が再編され、医療サービス省と公衆衛生省が統合し、カウンティとの連絡調整の混乱が起きている
  • ケニヤッタ大統領が就任し、公約として掲げられていた、1)産科無料サービス、2)公立一次医療施設の無料化が実行された
  • ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)達成のための働きかけが本格的に開始された

◆2030年のUHC達成のための保健セクター政策借款(日本から最大40億円を融資)が8月に調印された

<ケニアにおける健康格差の現状 -保険制度とサービス提供の側面から->
続いて、JICA国際協力専門員の杉下氏より保健サービス提供および保険制度の公平性に対する課題について下記の発表がありました。

◆公平性を改善するため保健施設の増設がなされていても、医療従事者の数に地域間格差が大きく、地方では人手不足が深刻である
◆一次医療施設が無料化された後も、インフォーマルな支払い(袖の下)が多い
◆健康保険の加入者が農村部で低い

<バーティカルプログラムとユニバーサル・ヘルス・カバレッジ>
公益財団法人結核予防会の菅本氏からはケニア結核対策プロジェクトの発表があり、以下のメッセージが出されました。

◆UJHC達成に向け、"タテ"と"ヨコ"のアプローチは相互に補完し合うものであり、
両者の相互作用を考慮しながら保健政策を進める事が重要である
◆結核対策で用いるサーベイランスや検査技術、オペレーショナルリサーチ等は他疾患にも応用できる

<ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)に向けたコミュニティの役割>
そしてHANDSからは、コミュニティから見たUHCの現状と課題を「4つのAの視点:Affordability(支払いの可否), Accessibility(保健施設やサービスへの距離), Availability(適切なサービスの存在), Acceptability(サービスや保健人材に対する受容の度合い)」から解説し、保健サービスを受ける側(住民)からの発信や参加が、UHC達成のために必須であること。
その上で、HANDSが実施しているコミュニティでの働きかけを

◆住民の声を反映、
◆フロントラインワーカーとコミュニティの協働、
◆予算配分による持続的な仕組みづくり

という3つのポイントで紹介し、UHCの3つの側面「Extend to non-covered(対象人口の拡大), Include other sesrvice(対象サービスの拡大), Reduce cost sharing and fees(費用負担と利用料金の低減)」にコミュニティヘルスがどう貢献できるかという発表をさせて頂きました。

<ケニア保健財政戦略>
最後に、ケニア国保健省UHCアドバイザー渡辺氏より、保健財政上の課題として以下が挙げられ、戦略策定の基本方針について発表がありました。

◆多数の保健サービスプログラムが乱立している
◆同様に予算もプログラムに合わせて乱立していて複雑である


会場からは地方分権化に絡んだ保険財政や保険の制度設計についての質問が多く出て、どう具体的に進めていくのかというところに関心が高いように感じました。

IMG_5558_sm.jpg

普段国内担当として、コミュニティでの働きかけの報告を現地から受けつつ、ケニアの保健政策やコミュニティヘルスに関連した論文や報告書を通じて中央レベルの動きを把握しようと努めていましたが、今回のシンポジウムで現在のドナーやケニア政府の動きを現場からの生の声として聞けたことはとても学びの多いシンポジウムとなりました。

サービス提供側(政府)からの働きかけだけではなく、サービス受容側(住民)の参加こそがユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)には必要です。現地での保健ボランティアや保健委員会の育成や活動促進から発信できるメッセージを今後も出していきたいと思います。

(ケニア国内担当:平野志穂)

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