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活動ニュースケニア

ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ達成のためにできること

はじめまして。
新しくケニア事業の国内担当になりました平野です。

ケニアについてはまだ知らないことが多いので、みなさんと一緒にケニアの保健事情やプロジェクトについて理解を深めていきたいと思います。どうぞ宜しくお願いします。

ケニアを知るための一歩として、外部のセミナーにも参加しています。
国際協力機構(JICA)国際協力専門員・保健分野課題アドバイザーの杉下智彦氏が講師のセミナーでは、ケニアにおける保険制度の現状と課題を学ぶことができました。

変換 ~ P1040072.jpgケニアでは、このようなへき地の住民も公平に医療へアクセスできるようになることをめざしている

世界では4億人が基本的な保健医療サービスを利用できておらず、37か国において、人口の6%が医療費の自己負担により極度の貧困(1日1.25ドル未満の生活)に陥っていると言われています。<世界保健機関(WHO)/世界銀行>

「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ」(誰もが公正に保健医療サービスを利用することができる)という語を聞いたことがありますか。

日本におけるユニバーサル・ヘルス・カバレッジの達成には、「国民皆保険」制度が大きな役割を果たしたと言われています。ケニアにおいても現在、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジを達成するため、日本から様々な支援が実施されていますが、保険制度は今どのような状況なのでしょうか?

まずは、ケニアの保健システムの現状から理解を深めたいと思います。

<<ケニアにおける保健システムの現状>>
2013年のKenya Household Health Expenditure and Utilization surveyによると、中進国になりつつある、ケニアの保健財政概況は以下のような状況です。

  • GDPに占める保健支出の割合:1.9%
  • 国家予算に占める保健予算の割合:4.5%
  • 保健支出全体に占める自己負担の割合:45%
  • 国家医療保険(NHIF)への加入率:全人口の27%

このような状況のなか、疾病構造は近年変化してきており、死亡率を引き上げる原因はこれまで感染症でしたが、2025年以降には非感染症による死亡が感染症による死亡を上回ると予測されています。つまり生活習慣病などの疾患になります。

ケニアは2014年から、地方分権化で、国を47の郡(カウンティ)に分け、行政執行を郡に任せる制度に替わりましたが、2015年の郡の平均保健予算は「13%」。実際は、5%程度から30%程度まで郡ごとに随分と開きがあります。

また、保健人材の配置については、病院を中心に保健医療が発展してきた歴史から、現在も保健人材の大半は郡病院に集中している状況です。
このような状況に対し、ケニア政府はコミュニティ診療所の数を増やすことで、
サービス提供の公平性を向上する働きかけを行っています。

コミュニティの診療所

それでは保険制度は現状どうなっているのでしょうか。

<<ケニアにおける保険制度の現状>>

ケニアはアフリカで保険制度の歴史が一番長い国なんだそうです。

1965年に国家病院保険制度(NHIF)が導入され、2007年には産前健診、施設分娩の無料化が実施されました。
また、2012年には国家保健財政戦略書(社会保障制度の設立をめざした法案)が国会へ提出されています。

現在、都市部においては保険の加入割合が44%と比較的高いものの、
依然としてインフォーマルな支払い(袖の下)を強要されることも多くあります。
地方にいたっては、保険の加入割合が14%と低く、保健従事者すら保険のことを知らないのが現状なのだそうです。

杉下氏の発表の最後には、ケニアにおけるユニバーサル・ヘルス・カバレッジ達成の教訓として、以下が挙げられていました。

・保健財政のみならず、保健人材・物品供給など、システム強化の視点が重要
・地方分権化によるマネージメント能力育成と組織強化の必要性
・保険制度拡充のための資源確保(新しい財源、効率化、人材育成)
・モラル・キャピタルの育成による信頼関係の醸成

【保健省の職員向け研修】

セミナーに参加し、改めてHANDSがケニアで実施しているプロジェクトについて考えてみました。

2010年のWHO年次報告書では、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジの実現に向けて考慮すべき3つの側面として以下の充実を唱えています。
1)保健サービスがカバーする人口
2)保健サービスのうち、カバーされる種類や内容
3)保健支出のうち、公的財源によってカバーされる比率

HANDSのケニアプロジェクトでは、地方分権化後のケリチョー県において、保健ボランティアの育成と、保健行政の能力強化を通じ、ヘルスケア・システムの強化に取り組んでいます。
すなわち、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ達成のための2つの側面に関わっていることになります。

●診療所から遠い村においても、プロジェクトで育成された保健ボランティアが住民の健康状態を見守り、必要な対応をとれるようにする。
→1)保健サービスがカバーする人口の充実

●保健サービスの内容の充実や質の確保は、保健ボランティアによっても地域にもたらされる。
→2)保健サービスのうち、カバーされる種類や内容の充実


また、ケニア政府による保険制度の整備は、
3)保健支出のうち、公的財源によってカバーされる比率の充実に関わる働きかけといえます。

HANDSのプロジェクトは世界的な国際保健の流れであるユニバーサル・ヘルス・カバレッジ達成へ向けてケニアで計画、実施され、スタッフ達は日々プロジェクトに取り組んでいるのだということが、改めて理解できました。

今後は保健ボランティアの役割についても学んでいきたいと思います。

【保健ボランティアの活動の様子】

[ケニア]