• HANDSについて
  • 活動内容
  • 活動ニュース
  • 参加する
  • 寄付・支援する
  • 法人・団体の皆さまへ
HOME > 活動ニュース > 2/27「母子手帳フォーラム~No One Left Behind~」報告(3)
終了したイベント

2/27「母子手帳フォーラム~No One Left Behind~」報告(3)

2017年2月27日、国際母子手帳委員会との共催イベント
「母子手帳フォーラム~No One Left Behind~」
(後援:社会福祉法人恩賜財団母子愛育会 愛育研究所)を開催しました。

報告第3弾です。

報告(1)基調講演(中村安秀)、報告「アフリカ ケニアの電子母子手帳」(杉下智彦先生)はこちら

報告(2)報告「日本のデジタル母子手帳導入事例」丸山安曇(株式会社NTTドコモ/株式会社博報堂DYメディアパートナーズ) 「リトルベビーハンドブックの紹介」中野玲二(静岡県立こども病院)、小林さとみ(ポコアポコ)はこちら

●「親子健康手帳に寄せる小牧市の思い」岡本弥生(愛知県小牧市保健センター)

通常の母子健康手帳は6歳までの記述になっていますが、愛知県小牧市の母子健康手帳は15歳まで使えるようになっています。
その中身も、厚生労働省の省令を生かしつつ、非常にお母さんへの励ましや暖かい気持ちが含まれた母子手帳を作っておられることで有名です。
どのような考え、経験で、母子手帳が作られているのか、お話くださいました。

「私たち小牧市の保健師が親子健康手帳の作成から活用まで、ほかの自治体に負けないくらい
 なみなみならぬ思いを持ってこの母子保健活動に取り組んできたことを、今日ご紹介したいと思います。」
と力強い一言から始まりました。

20170227_07_P1100917sm.jpg

人口15万人、出生は年間約1400人ほどの小さな町と仰いますが、戦国時代の歴史あり、
名古屋コーチンが発祥で桃が特産品というグルメありで、ぜひ訪れてみたい気持ちになる地です。
愛知県小牧市の母子手帳は温かみがあって、私たちからは好評なのですが、
初代母子健康手帳の表紙はタマゴのイラストを使用され、
「子供の成長を鳥に例えて、生まれてから親の愛情という目には見えない殻につつんで
 大切に育てる我が子をイメージしたイラストを採用していました。
 思春期にこの殻を破って第2の誕生を迎える、そんなイメージを持って内容も構成」
されてきたそうです。
しかし時代の流れか、市民からデザインが古い、ディズニーのデザインがいい、
人間は卵から産まれるような誤解を与える、などの意見が出たことで、
6月から新しいデザインに変更されたそうです。

新デザインも、小牧市のブランドロゴマークをアレンジし、シンボルである小牧山、桃や名古屋コーチンが描かれ
小牧市の障害を持った子のお母さんがデザインして作ってくださったものだそうで、こちらもやはり素敵です。
内容に関してもその時々で見直しが行われています。

小牧市の親子健康手帳の特徴は、まず厚労省の省令様式を一歩先行く形で、
母親のみではなく父親の育児参加も意識した内容にし、当初から親子健康手帳を名称にされました。
思春期15歳を一つの節目ととらえて第2の誕生ととらえているところから、
ちょうど妊娠期から中学校3年生の15歳まで利用することができる親子健康手帳です。

2つ目の特徴として、妊娠期から出産後の各月齢、あと生まれてからは年齢ごとに15歳まで、
わが子に対する両親からのメッセージが書けるようになっており、
のちに子供に残すことができるようになっています。

3つ目、4つ目としては、妊娠から出産後も各月齢ごとにアドバイスの記載がされており、
親の疑問や育児の不安にこたえられるように構成。
親が成長の節目にメッセージを記して成長した子供につたえ、子供がまた読み返すことで
子どもは愛されて生まれてきたという事を感じることができ、また親自身も
これを読み返すことによって、親としての気持ちを振り返って、これまでの頑張りを認めて、
親自身の育児の力にしてほしい、という願いを込めて作成しておられるそうです。
親と子の自己肯定感を育みあうことができる親子健康母子手帳として、
親と子で作り上げて行ってもらう、そんな思いが込められています。

独自に作成してきた経緯は、平成9年に〝すべての親子が健やかに成長できる地域づくり"を目指して、母子保健推進協議会を、医療・保健・福祉・の関係機関の方々とで構成したことがきっかけ。
そこで「小牧の親子のあるべき姿」、目指す親子の姿を「豊かな心を育みあう小牧の親子=命を大切にし、地域とのつながりの中で=」としようとまとまり、そのときに、さまざまな困難と向かい合っている保健師さんも「困難を乗り越える一番の力はなにか、自己肯定感である」という共通認識をもち、親と子の自己肯定感の醸成を大きな柱として様々な母子保健活動に取り組んだひとつが、親子健康手帳の作成だったのだそうです。

「ただやはり配布するだけでは何の価値もなく、これから大切なのは、この親子健康手帳に込められた思いとか、この親子健康手帳を活用することによってこんなにいいことがあるんだよ、ということを、お母さんたちに伝え続けていくことだ」と、
親子健康手帳の交付は、妊婦さんと保健師が信頼関係を作る一番最初の大切な場ととらえ、活用方法や手帳にこめられた思いを、お一人お一人に伝え、また健康相談などにも応えながら丁寧に接しておられる、とのことでした。

●「胎児期以上成人期未満の記録 ~親子健康手帳誕生から活用まで~」宮城雅也(沖縄県小児保健協会、沖縄県立南部医療センター・こども医療センター)

沖縄県も、小牧市を参考にしながら、さまざまな職種の方が入って、親子健康手帳が開発されています。
その誕生経緯などをご紹介いただきました。

20170227_10_P1100936sm.jpg

最初は、平成18年、19年ごろに沖縄県の保健師さんのヒアリング調査から、母子健康手帳の変更希望が多くあがったことから始まります。
小牧市や茨城県の常陸大宮市など、6歳を超えて使える母子健康手帳を参考にもしましたが、根本から考えていこうと、中心となった小児保健協会と検討メンバーに色々な職種の人の方に参加いただき、さまざまな意見が出し合われました。

「一番肝心なのは、実は歯科なんですね。」と宮城先生は仰います。
歯科の先生たちに母子健康手帳を使ってもらうと、使う機会がどんどん増える、そうなれば母子健康手帳の利用回数が増えていく。
そのため歯医者さんで手帳を使ってもらうために、歯科の欄を非常に充実させたのだとか。
また、沖縄県では「はしかゼロプロジェクト」というのがあり、厚労省の予防接種欄は全く無視し、やり易い形にアレンジされたそうです。
定期接種になっていない物まで全部入れて作ったところ、今ではそれが認められてどんどん定期接種が増えている。
「その先駆けになったんじゃないかなと思っています。」

6歳以降で一番使うのは、学校健診なのですが、学校側の利用啓発にはハードルの高さを感じておられるようです。
また健康な子供が生まれてくると言う教育にも非常に使われるということで、養護教諭の間で「母子健康手帳は活用できる」とも言われているそうです。
これは新しい活用法ではないかと思います。
まだ沖縄県で親子健康手帳が活用されるようになったのは、平成20年からということで、
最初に親子健康手帳が交付された子も今年からまだようやく小学生。これからのチャレンジとなりますが、
ぜひその後の経過を知りたいところです。

沖縄県ではなんと30%が貧困家庭、3人に一人が貧困家庭ということで、
子どもが成長して成人になるまでは、家庭だけではなく社会の責任として、
育児力を育てる、家族力をつけて行く、あと地域力をつけてみんなで子育てを支援していくことをめざしていくにも、
「母子健康手帳は縦のネットワークになって時間を超えて繋がっていくことから非常に重要」と強いメッセージが伝わりました。


[終了したイベント]