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2/27「母子手帳フォーラム~No One Left Behind~」報告(2)

2017年2月27日、国際母子手帳委員会との共催イベント
「母子手帳フォーラム~No One Left Behind~」
(後援:社会福祉法人恩賜財団母子愛育会 愛育研究所)を開催しました。

報告第2弾です。

報告(1)基調講演(中村安秀)、報告「アフリカ ケニアの電子母子手帳」(杉下智彦先生)はこちら

●「日本のデジタル母子手帳導入事例」丸山安曇(株式会社NTTドコモ/株式会社博報堂DYメディアパートナーズ)

丸山安雲さんは博報堂で数多くの開発に携わって来られました。生活者が実際に利用できるサービスを提供し、生活者に新しい場を作りだすために、日々専念されておられます。
丸山さんには、日本の電子母子手帳事情を、NTTドコモとの共同チームで開発している日本の電子母子手帳アプリを例としてご紹介いただきました。

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博報堂とNTTドコモは、2013年から妊婦さんもしくは周産期の女性を対象としたサービスを提供されていることから、
民間の企業がサービスを作るときにどのように始まっていくか、とまずアプリ開発の背景をお話くださいました。
博報堂は生活者と呼ぶ、ユーザーの方を徹底的に調べます。
妊婦さんに対して何かニーズがあるんじゃないかという仮説を立て、まず調査をしっかり行いました。

サービス開発中の2012年におこなった調査で、日本の妊婦さんは妊娠されたときに
「ああ、ママになれる、幸せだ、毎日ハッピーだ」という気持ちではなくて、
すごい不安を感じているという調査結果がでて、非常にショックを受けたそうです。
「何でこんなことが起きてしまうのか、妊娠ができてハッピーなんじゃないのか?と思ったんです」

インターネットで検索することで、しかもどの情報が正しいか見つけるリテラシーを、
妊婦さん1人1人が持っていないという事もあるので、そこで余計な不安と言うものを感じてしまうと考えました。

そして、お医者さんに対しても調査をされました。
お医者さんの1日はとても忙しく、診察も、出産の立会もして、時には手術もします。
そこに妊婦さんから質問をされても、余裕がない。
そんな不安を解決してくれる相手は最終的には先生でしかないが、
先生に対するしわよせが非常に多くなってしまっていて、かつ産婦人科医自体が減少傾向にある。
妊婦さんの質問は増え、十分な回答が得られないことでますます不安を募らせてしまう・・・

広告代理店はコミュニケーションを最適化するのところにノウハウがあることから、
そこで問題の根幹をそこと考え、そこから妊婦手帳というサービスの開発が始まったそうです。
そして短いサービス紹介映像を見せていただきました。
現在30万人以上の妊婦さんが利用され、ユーザーの利用頻度も高く、
提携病院も300を超えているとのこと。
妊婦さんの病院に対して感じる満足度も向上していることで双方の利が合致します。

さらに病院との電子カルテとの連携ができないかと挑戦し始めましたが
日本では実は個人情報の観点などから、法的制度が整い、なかなかやりにくいようです。
しかしチャレンジは、妊婦手帳から、母子手帳アプリの国との連携による開発へと続いています。

「民間企業がこういったことに取り組むときに大事にしているのは、まずスピードです。
 そして提供するクオリティ。我々がいつも広告でやっている、どうやったら伝わるのか、
 どうやったら使い続けてくれるのか、そういったクオリティを非常に大事にしています。
 そして一番大事なのは、サステナビリティ、継続性。
 やはり、助成金だけで運営していたらすぐ終わってしまうので、どうビジネス化して、
 収益化して、続けていく体制を作っていくのか。
 それをプロデュースしていくのかということを中長期的に考えて運営しています。」
と最後にまとめられました。

●「リトルベビーハンドブックの紹介」中野玲二(静岡県立こども病院)、小林さとみ(ポコアポコ)

静岡県立こども病院の新生児センター・センター長・新生児科の科長を務められている中野先生からは、
第10回母子手帳国際会議での発表が、NHKの全国区で放送され、大変話題を呼んだ、
小さく産まれた赤ちゃんのための「リトルベビー・ハンドブック」について、ご紹介いただきました。
ポコアポコは、静岡県立こども病院のNICU(新生児特定集中治療室)の卒業生の親の会で、
代表を務める小林さんは、大勢の前では緊張されるということで、中野先生が中心になってお話されました。

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親の会はいろんなNICUにあっても、ポコアポコさんはそれに加え、
NICUの中に先輩ママさんとして入り、入院中のお父さんとお母さんとお話をしていただく、
ピアサポートをされてます。ピアサポートと言う形のサポートはかけがえのないもので、
医療従事者にはできない支えになっているのではないかと、中野先生は仰います。

小林代表ご自身も双子のお子さんが早産で生まれて、当時はまだ静岡県立こども病院に産科がない時代で、
生まれてすぐにお母さんと離ればなれになってしまう。
保育器で少しずつ大きくなって、いろんなことを乗り越えて、呼吸器が要らなくなるといった
成長を日々喜びながら見守っていきます。

しかし現状の母子健康手帳は、2キロ未満の赤ちゃんを想定して作られたものでは無いのだそうです。
体重は2キロから、身長も40センチからしか記録できません。
発達に関しても1か月でミルクを良く飲みますか?という記述があっても、
実際にNICUに入っているお子さん達は、ミルクを飲むことは1か月ではできない。
体重も身長もとっても小さく、せっかく生まれた赤ちゃんの記録をしたくてもできないという事があります。

そのような中で、ポコアポコさんのメンバーが「リトルベビー・ハンドブック」を作成し始めたとのことでした。
体重がゼログラムからあり、発達に関しても、たとえば首が座ったのはいつか、
というようなことを書けるようになっています。

そして、この中にいろんな先輩ママさんの言葉が書かれていることも大きな特徴です。
「こういった言葉が入っていることが、このハンドブックの一番の重みなのではないかなと思います。」
と言って、少し紹介してくださいました。

「母は強し、なんて言葉があるけれど、母は強くなくていい。泣いたってくじけたっていいと私は思います」
「退院できる日を指折り数えて待ってたよ、初めて君と一緒にいた夜、嬉しくて朝まで眠れなかった」
「当たり前のことが当たり前でないこと、世の中を見る目が変わった気がします」
「赤ちゃんは私たちが思う以上に強い、赤ちゃんの生命力は想像以上にすごい」
「子どもたちが小さく生まれてきたことで、私たち夫婦の絆は強い物となり、夫婦でいろんなことを相談して決められるようになりました。仲良し家族です」。 

「危うく小さく生んでしまったという自責の念を、退院後も持ち続けながら育児をされているお母さんは少なくない」と、
中野先生は日々外来をしながら感じておられるそうです。
「お母さんは悪くないんだよ」ということを医療者は医学的情報提供で説得してしまうこともあるが
お父さんお母さんが求めているのは、実際にそうゆうことではないと感じると、中野先生は仰いますが
温かくご家族に寄り添っておられる気持ちは会場に伝わってきました。

そして中野先生を継いで、小林さとみさんからもご自身の経験を共有いただくと共にメッセージをいただきました。
「私たちはお母さんのためのお母さん目線でリトルベビーハンドブックを作らせていただいて、本当にいろいろなところから反響をいただいて、こんなに必要とされているんだという事を痛感しました。でも私が一番目指しているところは、日本のどこの県で小さい赤ちゃんが生まれても、平等に、私は静岡のお母さんにしかこれを分けることはできなかったんです。静岡のお金を使ったので。でもやっぱり、日本だけじゃなく世界中ですけど、どこで小さい赤ちゃんを産んだお母さんにも配布できるという世の中になっていくといいなと思って、私にできることは少ないんですが、今、行政のほうにもお願いをしていて、かならず通じると信じて、中野先生に一緒に協力してくださるのでやっているところです。また皆さんにも協力していただきたいことが沢山あるので、これからもよろしくお願いいたします。ありがとうございました。」

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会場にも行政関係者は多く来ています。
この場で、小林さんのように実際に経験された方からこそ真に伝わるメッセージを
発信してもらえたことが、将来「だれひとり取り残さない」の理念に沿った母子手帳へと
つながっていくことを願います。

[終了したイベント]